乳がん治療で自分が自分ではなくなる感覚になる

こんにちは!みーぽんです!

今日も、治療をしていた時のことを振り返ってみようと思います。

乳がんと診断されたあと、主治医から言われた治療を受けていくわけですが、最初は初めてのことなので治療やら日々の生活のことに意識がいっています。でもしばらくすると、自分の置かれている状況に意識がいくようになります。

容姿が変わることへの抵抗

特に抗がん剤をしたあとは、副作用で容姿がとても大きく変化します。

髪が抜けてしまう、体がむくんでしまう、爪が変な感じになる、頭がボーっとして何も考えられない。生理も止まります。

摘出手術では、胸の形も変わります。私は全摘だったので、左胸はまったいらで乳首もありません。

私の体調が少し落ち着いたときに、子どもが温泉施設に行きたいと言ったことがあります。ふとそのときに、自分の体を客観的にみてみました。頭は丸坊主(眉毛もない)、片胸が全くない、手足はパンパンに腫れている…おおお…宇宙人でないか!と。

そして、髪が無くて胸が無くて生理も無くて…女性の象徴とされるものが無くなってしまっていることにも気づいて、唖然とした時期がありました。

むくみもおさまり、髪も生えている途中の今は精神的に落ち着いていますが、抗がん剤で体中が倦怠感でいっぱいのときの容姿の変化は、発狂に近いものがありました。

私の髪がほとんど抜けてしまったとき、上の子はその状況が受け入れられなくて号泣してしまいました。私は、悲しい思いをさせまいと、子どもがいるときはずっと家でも綿の帽子をかぶっていました。お風呂も一緒に入らなくなりました。私の髪が抜けたことで、子どもとの距離ができてしまった気がして、それも悲しかったです。

外からはわかりづらいケモブレイン

抗がん剤をすると体中に倦怠感がある、とは説明されていましたが、頭がモヤモヤしたり判断が鈍くなったりすることまでは聞かされていませんでした。なので、私も最初は気にしていませんでしたが、2クール目あたりから、明らかに記憶力が落ちたり、何をしようとして椅子から立ち上がったのかわからなくなって部屋の中をぐるぐる回ったりすることが多くなりました。

抗がん剤投与後10日くらいすると、体調は徐々に良くなってくるので家事もできるようになってきてましたが、頭だけは常にボーっとしていたのです。体はいつものように動かして家事をしているので、家族は普段と変わらないように接してきます。子どもは学校のことや提出物のこと、主人は家計のことなど。でも、でも、でも…頭に全然入ってこなくて…。ご近所さんとの立ち話も、家に帰ってきたら何を話していたのか、まったく思い出せなかったり。

ケモブレインという言葉も最初は知らなくて、西加奈子さんの著書「くもをさがす」という本の中で知りました。(西さんは海外で乳がんの治療をされたそうで、そのことが書かれてあります。)

容姿の変化に加えて、記憶がなかったり、考えられなかったりして、自分が自分ではなくなっていっていることが、本当に怖かった。。。

いや、このケモブレイン、まだ続いているので、常に「何か忘れているんぢゃないか!?」という緊迫感が今も付きまとっています。

ちなみに、ケモとはケモセラピーといって、化学療法のことをさすようです。

私が抗がん剤を受けていた病院の部屋はケモ室と呼ばれていました。

容姿の変化はそのうち慣れる

そうは言っても、乳がんを治療するためには仕方のないことで、容姿については毎日見ていると慣れてくるものです。

子どもも、1か月たったくらいから「家では帽子かぶらなくてもいいよ」と自分から言い出してくれて、子どもの成長に涙しました。

それから、乳首の存在って不思議なんです。

主治医や放射線技師さんに、手術跡を見せるわけですが、乳首が無いだけで何の抵抗もなく胸をみせられるんです。なんというか、背中とか膝みたいに(私だけかな…??)。

右胸は元の胸のままなので、右の乳首があることでまだ羞恥心があるのですが、今となっては右の乳首が無ければ下着を付けなくてもTシャツ一枚で過ごせるのに…と思うこともしばしば。

でもやっぱり自分は自分

治療で、今までの自分とは違う形になってしまって、頭も回らなくなって、だんだん自分ではなくなっていく感覚をたくさん味わいました。

でも、私の容姿が変わっても、家族や周りの人たちは、変わらず暖かく接してくれて応援してくれて、それを有難いと感じることは忘れていなかった。

私の特技は、なんでも「有難いなぁ」と思えることで、(あ、乳がんとわかったときはさすがに思えなかったけど…)

前のようにサクサク動けなくても根本の大切な部分は無くしていないことに気づいた日からは、ちょっと心穏やかになりました。

そう思うと、自分の軸って大切なんだなぁと、いま書いていて思いました。

ちなみに、西加奈子さんの著書「くもをさがす」は、私の乳がんを知って心配してくれた父からのプレゼントでした。西さんは両胸を全摘、しかも日帰り手術!それを知ったとき、心の底から「すごっ!」と声が出て、自分もがんばろう!と勇気づけられました。


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それではまた!ぽんぽんぽん!

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